契約、その前に
これまでの記事で、目当ての物件の探しかた、検討している物件のリサーチ、そしてそれらを総合して得られる収支や純利益の算出などについて、記してきました。これらは全て、契約の場面に至るための準備段階であると言えます。目標は、良い物件、良い取引、つまりはキャッシュフローが十分に高リターンを生み出すような投資を見つけ、最終的に契約書にサインを記すことです。
ここに至る準備段階は、とても長く、骨の折れるものでした。そうした手間や時間を含めたコストの回収のためにも、あなたはこの取引に支払った代償は当のこの取引で回収せねばならない……そんな風に考えることと思います。しかしここで、なぜリサーチや収支の算出を行ったのか、考えてみましょう。それは、検討している物件に、契約するほどのリターンの潜在力があるかどうか、妥当な金額で入手できそうか、そういった判断をするためです。判断というからには、イエスとノー、つまり契約書へのサインか、取りやめか、という二択を選ぶことになります。
リサーチをしたからといって、物件の潜在的な価値が上がるわけではありません。あなたはそれを最大限生かすことができるよう、準備をしたと言えるかもしれません。
つまり、あらゆるリサーチ、面倒な計算の結果、この物件への投資は見送ることにしよう、と、この段階で判断する可能性も非常に高いということです。しかし、悲観する必要はありません。契約に至らなかった取引は、いわば練習問題です。リサーチと収支の算出において、実際の投資物件よりいい練習台はないでしょう。数千円出して、参考書を買うよりも、あなたのスキルアップに繋がるものと言えます。