最終的な支出を大まかに算出する

ここまでで、大まかな支出の判断する材料は揃ったと言えます。あなたはまだ、物件購入の検討段階にいます。ここで大体の利益を算出して、目処をつけた物件を購入するつもりでリサーチを深めていくか、手を引くか、という、かなり最初の段階です。あくまでここで得られるのは、大まかな支出でしかありません。購入検討物件として登録し、リサーチを深めていく中で、支出の見込みは変動するものです。この段階では、必要となる要素を数え忘れている可能性すらあります。かなり大雑把な、検討のための材料であることを忘れずにいましょう。

ともかく、この段階で得られた情報を全て書き出し、計算機に数値を入力していきましょう。

ここで重要なのは、過去の、できれば前年度の実績を常に並べて、あなたが潜在的に想定するありうべき支出の、まっとうな額を算出することです。そのような算出は、当然、トータルでなんとなくこのぐらいの開きがあるだろう、という主観的な予想であってはならないでしょう。前述した支出のそれぞれのカテゴリー、修繕費、光熱費、保険料、税金、などなど、各分野での支出の見込みを予想しなければなりません。老朽化とともに、諸経費は増加傾向にあると言いました。あくまで、傾向です。たとえば、老朽化の激しい物件は修繕コストを増やすでしょうが、保険料は保険会社やコースによって、一概には断定できない特質を持ちます。

これらを全て考慮し、安全な投資のためにと、むやみに高いコストを見込んでしまったり、掛けが必要なのだと、根拠のない明るい未来を想定してしまうことのないように注意しましょう。不動産投資で重要なのは、目をみはる突飛なアイデアや判断というよりは、つじつまの会う収益計算、判断なのです。