未来をイメージする
不動産投資の現状についての理解が十分なものになったとしましょう。
次の段階としては、「それらについて改善する点がないか」もしくは「わざわざそこにコストを割く必要がないような些細な障害に対して、過去のオーナーが非合理的な出費をしていないか」「そうした項目は支出のリストから外して良いのではないか」など、そうしたコストカットを考えていくのも改善の一つです。
現状を踏まえた上で、次に取るべき行動はこのように、未来での行動をシミュレートすることです。このように運営したらどうなるだろうか。こういう改善をしたら損失が生まれるだろうか、利益につながるだろうか?
運営について最も重要な項目の一つが、家賃です。もちろん家賃収入は多いほうがいい。そのために何をすれば良いか? まず思いつくのが、家賃を上げるという方法です。しかし家賃上昇がそのまま収益の上昇になるならば、住宅賃貸はうなぎのぼりになっていくでしょう。しかし世の中はそのような事態にはなっていません。
賃貸運営にもマーケットがあり、顧客獲得の競争が激しく行われているものです。価格競争、つまりは値の下げあいです。逆に、マーケット内で競争が激しくなり、適正な利益を上げることよりライバルに勝つことが優先され、ほとんど利益のない、もしくはマイナスとなる価格設定をしてしまっているようでは、ビジネスと呼べるものではないでしょう。
できる限り収益を上げつつ、他者との差異化のために賃貸の切り下げを行い、周辺競合と牽制し合う、そのようなマーケットでは、家賃設定は、マーケット内での相場との距離をどのくらいにするかという戦略が大事になります。相場についてリサーチし、その数字に対して、オプションや優遇を豊かにして高めの設定を行うのか、ストレートに他より安いから選ばれるという道を進むのか。家賃の設定だけでも、非常に多くの想定や計算が必要となります。