改善とその結果
シャトルバスを走らせていないことは、入居率を下げている要因となっていることは疑いようがないように見えます。しかしバスサービスの導入のコストはどれほどのものか? 壊れた蛇口を修理する、経年の汚れが深いので高額で徹底的な清掃を依頼する。そのような、パッと思いつく、ありうる改善コストと比べると、イメージ場でも格段に高い支出が見込まれるでしょう。彼が見積もりに計上した額は、50,000ドル、約500万円です。そんな高いコストを、早くから導入する必要があるのでしょうか? 収益をある程度上げてから動き出すべきでは? 彼はしかし、結果として、この判断を正解だったと捉えています。入居率、家賃収入、そして物件価値が全て上昇したということです。
二階以上の部屋の空室率ですが、高齢な入居者達の医療費を払うわけには行きません。彼らを二階に連れていくという方法は取れないのです。そこで彼は、回数ごとに異なる家賃を設定しました。一階の部屋はそれ以上の階の部屋よりも、そこの住人達にとって価値が高いことは明らかでした。この考え方で、他の条件から見ての家賃に差というものを考え、例えばリゾート地並みに美しい風景が見える部屋があり、そこは景観のメリット面を考慮して、適正な額を賃料に上乗せしました。結果として、この改善による収益の増加は、月々6,000ドル、約60万円に及んでいるということです。
ケーブルテレビの契約は、10年も前に結ばれたもので、現状に対応しているとは思えませんでした。彼は思い切って、このサービスに関しては打ち切りとしました。住民達はというと、この決断を歓迎したそうです。自分で決めたチャンネルと料金プランの適用を彼らは望んでいたのです。サービスなら、多いほど良いということではないようです。